柏木　千鶴 （２３）




　やっぱり、彼女のシナリオが一番練られていると思います。

　公式に『ＴＲＵＥ　ＥＮＤ』とされるのは、千鶴さんで一本、楓で一本ありますが、千鶴さんはそれ以外のエンディングも非常に素晴らしいです。

　特に、さわやかな朝日に映える彼女の笑顔が見られる『ＨＡＰＰＹ　ＥＮＤ』は何物にも代え難いですね。

　Ｈシーンののろけっぷりも良し(笑)。ごちそうさま〜。






千鶴さんを理解するためのキーワード

　その正体は、『エルクゥ』という異星人。
　かつて地球に流れ着き、『狩猟者』として人間を狩る生活をしていた。
　千鶴さんはその血を色濃く受け継いでいる。
　男性の『狩猟者』ように変身こそしないものの、その身体能力は通常の生物の常識をはるかに凌ぐ。
　ついでに物理学の常識も凌いでいる(笑)。


　彼女の足下の地面が、徐々に押しつぶされていく。
　外見こそ変わらないが、彼女の体重は見るも明らかに増加していた。
　どんな現象が起こっているのか想像もつかないが、ただ、俺の身体は
ビリビリと恐怖を感じていた

○鶴来屋

　千鶴さんの祖父が一代で築き上げた、隆山温泉を牛耳る巨大複合リゾート旅館。
　天皇陛下や「雫＆ＴｏＨｅａｒｔ」ご一行様も宿泊したことがある。
　呪われた『鬼の血』によって両親が自殺したため、財産目当ての醜い争いが起こり、残された四姉妹の心はボロボロになっていた。それをあたたかく包んでくれたのが、会長代理となった耕一の父だったのだが、やがて彼も同じ運命をたどる。
　かくして傷心の千鶴さんが鶴来屋の会長となり、周辺から疑いとやっかみの視線を受けることとなった。

　ちなみに『リーフファイト９７』で彼女を倒して得られる所持金額は７２０円。

○癖

　千鶴さんは子供っぽい癖がある。


　「あっ、いけない」
　千鶴さんはぺろっと舌を出した。
　綺麗な容姿に似つかわしくない、彼女の癖だ。
　ともすれば端無いとさえ取られそうな子供のようなその癖も、
千鶴さんがすると可愛いの一言に尽きる。


　・・・いや、まあ、耕一の感想だから、かわいらしさは話半分に差し引くとしても、仕草が子供っぽい事は確かである。

○華奢

　千鶴さんはスレンダーである。
　「いかにも貧血で倒れそう」といわれてしまうほど。
　それなのに、ダイエットと称して朝食を抜いたりしてしまう。
　本人は、太りやすい体質であると言っているが定かではない。
　実は、妹の梓に比べてバストが９cm小さいのを気にしているようだが、歴代リーフキャラの中でも一、二を争う巨乳属性である梓では相手が悪いと思う。


　「あまりにも胸がきつうございましたので、押入の奥に放ったままに・・・」
　「なっ、なんですって〜〜〜！？　きぃぃぃぃっ！」

○年増

　千鶴さんへの禁句の一つ。
　やっぱり耕一より年上なのを気にしているのだろうか？


　「くすっ。耕一さんだって十分お若いじゃありませんか」
　「・・・・・・・」
　「楓、いま心の中で何か言った？」
　「う、ううん(汗)」

○料理

　下手である。
　致命的ですらある。
　千鶴さんの手料理を口にした者は、例外なくその背後に死神を見るという。


　「・・・だけど・・・タマ、動かなくなっちゃったよ・・・・」
　「き、きっと、今日は、タマだけに『たまたま』体調が悪かったのよ〜。
　タマとたまたま。にゃんにゃん！　なんちゃって〜っ！」
　「・・・・・・」
　「・・・・・・」
　「・・・・・・」
　「・・・・・・」

○当て身

　千鶴さんは何故か当て身が使える。
　『鬼』の力とは全く関係ないが。
　「当て身」と口にしながら使うあたり、マンガを見て覚えたのかもしれない。
　だが、同時に、不器用な彼女の辞書には「手加減」という言葉はない。
　もしうっかり鬼モード全開で当て身をしてしまったら・・・・？
　あまり想像したくないことになるだろう。

○思いこみ

　千鶴さんは思いこみが激しい。
　一度こうと決めたら、人の説得などまったく聞く耳を持たないのだ。
　もっとも、月明かりの中、肌を重ねた耕一の胸に残る痕を見たときから、すでに精神のバランスを狂わせていたのかもしれない・・・・・・。
　彼女の誤解を解くための選択肢は、かなり理不尽(笑)。


　その瞬間、俺は氷の手で心臓を鷲掴みされたような錯覚を覚えた。
　千鶴さんの瞳は、もはや感情を持つ人間のそれとは思えないほど
黒く濁っていた。

○恐怖

　千鶴さんは他人に恐怖を与えることができる。
　『鬼』と化したときは当然だろう。
　しかし、通常の状態でも、その優しい笑顔から強大なプレッシャーをかけることができるようだ。


　「あ・ず・さ・ちゃん？　い・ま・な・ん・て・言・お・う・と・し・た・の・か・し・ら？」
　「ひいいっ！」
　室温が下がったような気がした。

○偽善者

　千鶴さんはとても妹たちのことを大事にしている。
　従兄弟である耕一のことも、実の弟のように思っている。
　そして、鶴来屋の経営者としても後ろ指を指されないように努力している。
　なのに何故か偽善的と言われてしまう。
　・・・・・・実は、彼女は皆が言うほど演技が上手くないのかもしれない。


　「こら〜〜〜〜〜っ！　偽善はやめろ〜〜〜〜〜っ！　反吐がでら〜〜〜
〜〜〜〜〜っ！」
　「ひっ、酷いわ、初音！　私、偽善者なんかじゃないモンッ！」
　ぷいっ。
　「それが偽善チックってんだよ〜〜〜〜〜〜〜ッ！」

○耕ちゃん

　小学生だった耕一が、初めて千鶴さんと会ったとき、彼女はセーラー服の中学生。
　当時弟が欲しくてたまらなかった千鶴さんは、従弟の耕一を「耕ちゃん」と呼んで可愛がっていた。
　でも、耕一の方は、頭をなでられたりすると、とても嫌そうな顔をしていた。
　初恋の人である千鶴さんに弟扱いされるのが恥ずかしかったのだ。
　それが、千鶴さんの心に小さな痕を残すとも知らずに・・・・・。


　「耕ちゃん、どうしてそんなに泣いているの？
　　私をお母さんだと思って甘えていいのよ」


　涙無くして見られないシーンである。

　「なにかを演じている、というのがコンセプトにありました。
　本当は自分が支えて欲しいくせに、みんなを支える母親役を演じている・・・という
のが痕のストーリーですが、その他にもいろいろと偽りの自分を演じていたりします。
　いわば、自分で自分を演じているキャラクターなのです。
　梓と喧嘩している姿も、大ボケなところも、もしかしたら料理が下手ということでさえ、
演技なのかもしれません。
　実は本当は完璧になんでもこなせるのに、周りと上手くやっていくために、バランス
を取っているのかもしれません」

　（「雫・痕　設定原画集」より、高橋龍也氏のコメント）